【重点分野-2】

重点分野-2

安心社会とディーセント・ワークをまもり、創り出す運動の推進

  コロナ禍は、DX(デジタル・トランスフォーメーション)を一層加速させる一方で、社会的セーフティネットの脆弱性も露呈させた。激甚化する自然災害も相まって社会の持続性への懸念が高まる中、「連合秋田議員懇談会との連携、県・市町村・政党県連への働きかけなどを通じた政策の実現」、「三者構成を原則とした雇用・労働政策の推進」、「労使関係基盤を背景とする賃金・労働諸条件の向上と社会横断化」を運動の基軸に据え、すべての働く仲間のため、3つの政策構想「社会保障構想」「教育制度構想」「税制改革構想」および重点政策の実現と労働条件改善に引き続き取り組む。

1.2035年を見据えた社会保障・教育と税制の一体改革に向けた取り組み

(1)将来世代への負担の付け回しに歯止めをかけ、働く仲間・生活者の立場に立った「公平・連帯・納得」の税制を実現し、持続可能で包摂的な社会保障制度などの構築に必要な安定財源の確保や、所得再分配機能の強化など、わが国が直面する課題を踏まえ、対策を整理し、抜本改革に向けた取り組みを進める。

(2)行政や社会のデジタル化により、県民各層の利便性向上とともに、マイナンバー制度を活用した社会的セーフティネットの構築をはじめ、持続可能で包摂的な社会の実現に向けた取り組みを推進する。

(3)重要な社会インフラである日本全体の医療提供体制について抜本的な改革を求めるとともに、医療関係従事者の人材確保に向けた取り組みを推進する。また、全国いずれの地域においても安心してくらし続けられるよう、老齢、障がいなどにより生じるリスクに対する一定水準の所得保障の確立や、介護・子ども子育てなどのサービスが利用し続けられるための提供体制の改革と人材確保に向けた取り組みを推進する。

(4)子ども・子育て、介護、社会的孤立や経済的困窮、就業困難、住宅の確保や移動の制約などの多様で複合的な課題を抱える人や世帯の生活を支える制度の整備に向けて取り組み、誰もが安心してくらせる共生社会の構築を進める。

(5)主権者教育・労働教育・消費者教育など、社会人として諸課題への対応に必要な資質・能力を育成するための教育や、リカレント教育の推進に取り組む。また、社会全体で子どもたちの学びを支えるとともに、教育の質的向上に向けた取り組みを促進する。

2.持続可能で包摂的な社会を実現するための経済・社会・環境課題の統合的解決に向けた取り組みの推進

(1)経済や産業の構造変革に向け、AI/IoTのさらなる活用など経済・社会全体のデジタルインフラの整備に向けた取り組みを推進するとともに、人材育成や職業能力開発など必要となる各種支援の検討や、倫理的課題への対応を強化する。

(2)気候変動対応や循環型社会の構築など環境分野の課題解決に向けて、連合エコライフの展開など啓発運動を実施するとともに、「カーボンニュートラル」の実現に向け、県民生活や産業・雇用、資源・エネルギーなどへの影響や課題とその対策について模索する。

3.すべての働く仲間のディーセント・ワーク実現に向けた雇用・労働政策の推進

(1)コロナ禍においても、労働者が安心して就労できるよう、雇用調整助成金の休業制度および産業雇用安定助成金による在籍出向の活用につながる取り組みを推進する。また、地域の産業・雇用を維持する観点から、雇用創出事業とマッチングの強化を求める。

(2)法改正などについては、重点政策を踏まえ以下の通り対応をはかる。

①無期転換ルールについて、運用実態を踏まえたうえで、有期契約労働者の保護にかかる課題の解決に向けた見直しに取り組む。

②企画業務型裁量労働制の対象業務の安易な拡大は、長時間労働を生み出す恐れがあるため、認めない。

③働きづらさを抱える人が、安心して継続的に働き続けられる社会の実現に向け、障がい者に対する合理的配慮とともに、仕事と治療の両立支援の充実を推進する。

④外国人労働者について、外国人技能実習法にもとづく制度の厳格な運用を求めるとともに、特定技能制度の見直しにおいては、受入れ状況などの実態を把握し、安易な受入れ分野の拡大を認めない。

(3)「働き方改革関連法」の定着に向け、労働時間の適正な把握・管理や36協定の適正化の徹底、働き方の改善につながる商慣習の見直しを推進するとともに、パート・有期契約労働者や派遣労働者と正規雇用労働者との間の不合理な待遇の是正に向けた労働条件改善の取り組みを推進する。

(4)労働災害を低減する観点から、物理的な職場環境の改善とともに、メンタルヘルス対策に取り組む。また、雇用形態にかかわりなく、誰もが適切な安全衛生教育を受けられるよう取り組みを進める。 (5)不当な解雇を誘発しかねない解雇の金銭解決制度について、構成組織・連合本部・連合秋田が一体となって取り組み、導入を阻止する。

4.賃金・労働諸条件の向上と地域社会を支える中小企業の基盤強化

(1)春季生活闘争や通年の労使協議を通じて、「賃上げ」「すべての労働者の立場に立った働き方の実現」の実現とあらゆる格差(企業規模間、雇用形態間、男女間、地域間)の是正をはかるとともに、労働条件の社会横断化を促進する。

(2)中小企業の経営基盤の強化と地域社会の活性化をはかるため、働き方も含めた「サプライチェーン全体で生み出した付加価値の適正分配」の実現に向けて公契約基本法、公契約条例、中小企業振興基本条例の制定および「パートナーシップ構築宣言」の推進に取り組むとともに、「連合秋田プラットフォ―ム」などを通じ、地域を支える「産官学金労言」の各団体が地域の諸課題の解決に向けて連携する場の活性化に努める。

(3)すべての働く仲間が生きがい・働きがいを通じて豊かに働くことのできる社会をめざして、「豊かな生活時間の確保とあるべき労働時間の実現」をはかる。 (4)最低賃金を労働の対価としてふさわしい水準に引き上げるとともに、社会的セーフティネットとしての機能を強化し、「地方最低賃金審議会」における「地域の自主性」を発揮し、引き続き、地域間格差の是正に取り組む。