重点分野-2
安心社会とディーセント・ワークをまもり、創り出す運動の推進
高止まりする物価や米国の保護主義政策への転換など国内外の情勢変化に対応するとともに、わが国の構造的な課題である少子高齢化・人口減少、所得格差の拡大などへの対応をはかる。また、GXやDXが進展する中で、「人への投資」の拡充や雇用のセーフティネットの維持・強化など、すべての働く仲間のディーセント・ワークの実現に取り組む。
1.社会保障・教育と税制の一体改革に向けた取り組み
(1)行政や社会のデジタル化を進め、マイナンバー制度を活用した社会的セーフティネットの構築など、持続可能で包摂的な社会の実現に向けた取り組みを推進する。
(2)誰もが安心してくらせるよう、社会保障構想(第三次)改訂版にもとづき、子ども・子育て支援、生活困窮者自立支援、医療、介護、障がい者福祉、年金など、持続可能な全世代支援型社会保障制度の実現に向けて取り組む。
(3)医療・介護・保育など社会保障サービスを担う人材確保に向けて、診療報酬・介護報酬改定などにより、現場労働者の賃金引き上げや労働条件の改善に資する施策が充実されるよう取り組む。
(4)社会全体で子どもたちの学びを支えるとともに、教育の質的向上に向けて、学校の働き方改革の取り組みを促進する。また、主権者教育・労働教育・消費者教育など、社会人として諸課題への対応に必要な資質・能力を育成するための教育や、リカレント教育の推進に取り組む。
2.持続可能で包摂的な社会を実現するための経済・社会・環境課題の統合的解決に向けた取り組みの推進
(1)世界経済の先行き不確実性の高まりを踏まえ、情勢分析した上で政府に対応を求めるとともに、既存のルールに則った国際経済秩序が守られるよう働きかける。
(2)経済安全保障・食料安全保障を総合的に進めていくことを求める。また、経済、社会や産業構造の変革に向け、DXによる経済・社会全体のデジタルインフラの整備や変化への対応を求める取り組みを推進する。さらに、AIの活用に向けた各種支援の検討や、AIのもたらし得るリスクの低減策の推進を求める。
(3)東京一極集中に歯止めをかけるとともに、地方の活性化に向けて、連合本部と連携し、地方創生2.0の取り組みへの参画をはかる。
(4)カーボンニュートラルをはじめとする気候変動対応や循環型社会の構築など環境分野の課題解決に向けて、連合エコライフなど職場や地域・家庭における脱炭素の取り組みを推進する。また、「GX2040ビジョン」や「地球温暖化対策計画」において「公正な移行」が具現化するよう取り組むとともに、GX政策の必要な見直しを求める。
3.すべての働く仲間のディーセント・ワーク実現に向けた雇用・労働政策の推進
(1)経済社会情勢が変化するなか、労働者の雇用安定に資するよう、産業政策等と連携し、地域における良質な雇用の確保を含め雇用政策の強化に取り組む。また、セーフティネット機能の維持・拡充の観点から、雇用保険の適用拡大や、労働保険特別会計の財政安定化、マッチング機能の強化、求職者等への職場情報提供の充実などを求める。
(2)働く者の技術・技能やキャリア向上に向けて、非正規雇用で働く者を含め、雇用形態や企業規模等に関わらず、誰もがキャリア形成の機会を確保できるよう、能力開発など「人への投資」を拡充するとともに、能力向上を処遇改善につなげる仕組みの導入を求めるなど、能力向上と処遇改善の好循環の実現に取り組む。
(3)法改正などについては、重点政策などを踏まえ以下の通り対応をはかる。
・働く者の最低基準である労働基準法制を堅持したうえで、集団的労使関係の強化や長時間労働の是正に向け、労働者保護の観点に立った法改正と実効性確保を求める。また、労働者概念を拡充し、より多くの働く者が労働関係諸法の保護を受けることができるようにする。
・同一労働同一賃金制度については、あらゆる待遇の雇用形態間格差を是正し、公正な待遇の下で働くことができる環境の実現に向け、法制面の強化と実効性確保を求める。
・働きづらさを抱える障がい者が、安心して働き続けられるよう、雇用の質の向上をはかるとともに、障害者雇用のさらなる促進に向け、障害者雇用率の向上につながる施策の見直しを求める。
(4)「働き方改革関連法」のさらなる定着に向け、Action!36などを通じ、労働時間管理や36協定の適正化の徹底、働き方の改善につながる商慣習の見直しを推進する。また、同一労働同一賃金の実現に向け、正規雇用労働者とパート・有期雇用・派遣労働者との間などにおける不合理な待遇差の是正に取り組む。
(5)個人事業者等を含む、就業者の業務上災害の撲滅に向け、連合労働安全衛生取り組み指針(2023年度~2027年度)にもとづき、職場環境改善やメンタルヘルス対策などに取り組む。また、改正労働安全衛生法の周知および適正な指導・監督、必要な措置の実施とともに、被災労働者が迅速かつ公正な保護を受けることができるよう、労災保険制度の充実を求める。
(6)外国人技能実習制度や、育成就労制度、特定技能制度については、制度所管省庁の会議体等を通じ、制度の趣旨・役割を踏まえた厳格な運用と管理体制の強化を求めるとともに、「ビジネスと人権」も踏まえた労働者保護の取り組みを進める。また、わが国に在留する外国人に関して、雇用・就労を含む「生活者」としての視点を踏まえた総合的な政策の立案に向け検討を開始する。
(7)事業譲渡、合併など、あらゆる事業再編において、労働組合等への事前の情報提供・協議を義務づけるなど、労働者保護を強化する。また、事業再編等に関する法令などの周知・広報を強化する。
(8)働き方の多様化が進展する中、労働教育を推進するため、「ワークルール教育推進法」の策定を求める。また、フリーランスやスポットワークによるトラブルの実態を把握するとともに、労働関係諸法の適正な保護を受けられるよう取り組む。
(9)不当な解雇を誘発しかねない解雇の金銭解決制度について、理解を深め、導入を阻止する。
4.賃金・労働諸条件の向上と地域社会を支える中小企業の基盤強化
(1)2025春季生活闘争まとめと取り巻く情勢を踏まえ、「人への投資」と物価を上回る持続的な賃上げなど総合生活改善闘争に取り組む。企業規模間、雇用形態間、男女間などの格差是正をはかり、労働条件の社会横断化を促進する。
(2)中小企業の経営基盤の強化と地域社会の活性化をはかるため、価格転嫁が進んでいない中小企業等の実態を踏まえ、働き方も含めた「サプライチェーン全体で生み出した付加価値の適正分配」の実現に向けて適切な価格転嫁・適正取引や「パートナーシップ構築宣言」の拡大・実効性強化などに取り組む。経営諸団体等や組織内議員との連携を進め、公契約基本法、公契約条例、中小企業振興基本条例の制定に向けた取り組みをより一層強化する。
(3)地域別最低賃金の大幅な引き上げと地域間額差の是正に向けた運動を進め、社会的セーフティネットの重要性を社会に浸透させる。公正競争と魅力ある産業に資する労働条件設定のために、新設を含めた特定最低賃金の積極的な活用にむけ、課題を整理し取り組みを推進する。
(4)すべての働く仲間が生きがい・働きがいを通じて豊かに働くことのできる社会をめざして、「豊かな生活時間の確保とあるべき労働時間の実現」をはかる。