労働マメ知識

就業規則

10人以上(パートなども含む)が働く事業場は、就業規則をつくって、労働基準監督署に届け出をしなければなりません。 また、作成・変更するときは、働く者の意見を聞くことが義務づけられています。就業規則には、必ず「始・終業時刻」「賃金の決定方法」「退職(解雇の事由を含む)」などを記載することになっています。

なお、労働組合と経営側で決めた「労働協約」がある場合は、就業規則に優先して「労働協約」が適用されます。

解雇ルール

裁判の判例でしか確立していなかった「解雇ルール」が、労基法に明示されており、このルールでは「客観的で合理的な理由がなく、常識的に考えて疑問があるような解雇は無効とする」と規定しています。合理的な理由の場合でも30日以上前の予告、また30日分以上の平均賃金の支払いが必要です。このほかにも、判例で「整理解雇の4要件」が確立していて、経営者が勝手に労働者をクビにできないよう歯止めがかけられています。

  1. 整理解雇の必要性
  2. 解雇回避の努力
  3. 整理基準と人選の合理性
  4. 労働者との協議

有給休暇

半年以上勤続し、その8割以上出勤している労働者は有休をとることができます。週5日以上・30時間以上勤務する場合、年次有休は最低10日。 さらに1年勤続するごとに最高20日まで日数が増えていきます。パートなど短時間(週4日以下・30時間未満)勤務の場合でも、労働日数に応じた年休がもらえます。

また、登録型の派遣労働者でも、契約が更新され6カ月以上勤務する場合は、派遣元の責任で有休を付与することとなっています。

不当労働行為

経営者は、組合をつくろうとしたり、組合に加入した労働者に対して、解雇その他の不利益な取り扱いをしてはいけないことになっています。 また、正当な理由なしに組合との団体交渉を拒むこと、組合の結成や運営に介入することなども「不当労働行為」として、法律で禁止されています。経営者がこのような行為を した場合、労働者・労働組合は管轄の労働委員会に救済を申し立てることができます。

不払い残業

1日8時間、1週40時間の法定労働時間を超えて働いた場合や法定休日に働いた場合に、その時間に応じた割増を含んだ賃金が支払われないことをいいます。一般的には「サービス残業」といわれていますが、連合は当然支払われるべき賃金が払われていないことから「不払い残業」と呼んでいます。 労働基準法上、法定労働時間を超えて働かせる(または法定休日に働かせる)ことが許されるのは、[1]災害などの非常事由による臨時の必要がある場合、[2]公務のために臨時に必要のある場合、[3]労使協定(36協定)による場合です。

また、労働基準法は36協定を結ばないで時間外労働をさせたり、時間外に働いたにもかかわらずその時間に応じた割増賃金を使用者が支払わないことを罰則をもって禁止しています。労働者は「賃金不払い残業」に対し、使用者に労働に応じた割増賃金を請求できるだけでなく、是正されない場合は労働基準監督署に告発、裁判所に割増賃金と同額の付加金の支払い請求を行うことができます。

定期昇給

定期昇給は、毎年先輩に追いつくよう賃金が増えていくことで、賃金表や賃金制度がある職場では、ほぼ自動的に行われています。「ベースアップ」はこれに加えてさらに全体の賃金水準を引き上げることをいいます。 賃金表がない職場でも、多くは定期昇給の慣行があり、ベースアップと別にきちんと確保する必要があります。(パートタイマーの場合でも、契約書で「昇給あり」となっていれば、経営者は必ず昇給を行わなくてはなりません)

ハラスメント

職場環境の悪化などから、職場の上司や同僚、後輩などによるセクハラ、パワハラなど、職場でのハラスメント(精神的暴力・嫌がらせ)が問題になっています。

  • セクハラ(セクシャルハラスメント):時間・場所・相手をわきまえずに、相手の意思に反して、不快や不安な状態に追い込む性的な言葉や行為。
  • パワハラ(パワーハラスメント):地位と職権を利用して、言葉や態度による暴力を振るったり、業務の範疇を超えて就労者を苦しめる行為。

セクハラは男女雇用機会均等法に指針があり、事業主はそのような被害が生じないよう雇用管理上配慮することが定められています。つまり、セクハラが発生した場合、企業はその責任を負うのです。1人で悩むのではなく、身近な同僚や他の上司への相談。会社や相談窓口などへ相談してみましょう。

パワハラによる被害は、退職やうつ病に追い込まれる例も多く深刻なものです。今後「指導」の範囲を超えるような上司の言動は労災の対象になりうるものとして、真剣に対策や規制が考慮されることになるでしょう。